あらすじ
西暦2060年。月旅行が家族でも行ける時代になった。
12歳のユウキは、幼なじみのヒロたち5つの家族と月旅行に参加する。旅先で出会ったのは、しっかり者のカンナ、お調子者のサトシ、ちょっと年上でぶっきらぼうなチトセ。5人はすぐに仲良くなり、大人の目を盗んで、立入禁止の月面へ探検に出てしまう。
迷い込んだ先で5人が見つけたのは、月にひとつだけある小さな湖と、その真ん中に立つ一本の笹。そして、不思議な月の住人だった。
「短冊に願いを書いて吊るせば、なんでもひとつだけ叶う」
半分遊びで書いた願いは──本当に叶ってしまった。瞬間移動、複製、時間制御、想像したものを生み出す力。そしてユウキは、人の心の中に「ダイブ」する力を手に入れる。
だが、帰り道で5人の運命は静かに壊れ始める。気づけば乗ってきた船はなく、地球に帰った5人を待っていたのは、能力を秘密にしたまま過ごす奇妙な日常。ユウキは人知れず、ダイブの力で身近な事件を解決していく。
──そのとき、まだ誰も知らなかった。
あの月で、たったひとり置き去りにされた少年がいたことを。彼の書いた「想像」の力が、やがて空を覆う侵略者となって地球に牙をむくことを。
これは、世界を滅ぼした少年と、彼の心に潜る少年の物語。
人の心にダイブする力を持つユウキが、友達の罪と、自分の罪と、そして誰にも心の中を見てもらえなかった少年と向き合う──少年たちの、贖罪と奪還のSF能力バトル。