あらすじ
大きな亀タルムの背中に建つ小さな家で、気ままな旅を続ける食いしん坊妖精リリィ。
洞窟の奥で本物のお菓子の家を見つけた彼女は、タルムから「見るだけにしようねえ」と言われ、元気よく返事をした。――そして、住人に声をかけるより先に壁へかじりついた。
ところが、その家は三十年前に焼かれたまま、町の宝として誰にも食べられず保存されていたものだった。
食べられるために作られたお菓子と、作ることをやめてしまった菓子職人。食い逃げ妖精の一口が、眠っていた家と町を目覚めさせる、甘くて少し不思議な旅の一話。