あらすじ
高城直人は、努力を重ねても正当に評価されないまま、工場事故から仲間を守って命を落とした。
次に目を覚ましたとき、彼は剣と魔法が存在する異世界で、レオン・アーヴェルという赤子に転生していた。
この世界では、八歳になると魔法属性とスキルを鑑定される。
ほとんどの人間が一つの属性と複数のスキルを持つなか、レオンに与えられたのは、実用的な魔法を持たないとされる《無属性》と、同じ作業を少し続けやすくするだけの一般級スキル《反復作業(ルーティン)》ただ一つだった。
役立たずと判断されたレオンは、十五歳になれば、生還者の少ない魔石鉱山へ送られることを告げられる。
その運命から逃れる方法は、才能ある少年少女が集まる王立魔法学院へ合格すること。
だが、無属性と外れスキルしか持たないレオンに、学院へ入れる可能性などないと思われていた。
それでもレオンは諦めない。
一度でできなければ十回。
十回で足りなければ百回。
失敗した原因を記録し、修正し、再び試す。
九百九十九回失敗しても、千回目に成功すればいい。
やがて《反復作業》は、ただ同じ行動を繰り返すための能力ではなく、失敗と改善を積み上げ、あらゆる技能を成長させる力だと判明する。
誰にも知られない夜の訓練を重ね、レオンは無属性魔法、剣術、魔力制御を身につけていく。
しかし、高階級のスキルを持つ者は国家に登録され、自由を奪われることもある世界。
自らの力が常識を超え始めたと知ったレオンは、実力を隠したまま、学院の底辺として生きることを選ぶ。
弱者と笑われながらも、必要なときだけ常識外れの力を振るうレオン。
彼の秘密に気づく少女。
家や国家から才能を利用される仲間たち。
そして、世界中のスキル所有者数を示す古代の石碑に隠された真実。
これは、才能がなかった少年の物語ではない。
努力を才能として認められなかった少年が、千回の失敗を積み上げ、やがて人間の可能性に定められた限界さえ打ち破る物語。