あらすじ
下校中、気づけば見知らぬ祭壇の上だった。
周囲は「聖女様!」と歓喜に沸き、豪華な部屋、丁寧な世話、山のような称賛。でも私が知りたいのはたった一つ、「帰る方法」だけ。なのに誰も答えてくれない。
王命のまま「豊作を」「病を治せ」「金脈を」と祈り続けるうち、私は気づいてしまう。この国が豊かになるたび、どこか別の国が同じだけ貧しくなっていることに。
願いは奇跡なんかじゃない。世界のどこかから奪って、この国に運んでいるだけ――。
真実を探る私に、王は牙を剥く。大切な人を人質に取られ、「死ぬまで働け」と言い放たれた、その時。
ようやく理解する。「帰りたい」の本当の意味を。
これは、優しく祭り上げられた聖女が、自分を歓迎した国そのものを「なかったこと」にすると決めるまでの、短い物語。