あらすじ
払ったものが、暮らしになって返ってくる。そんな町を、俺は作りたい
「……昇給したのに、手取りが減ってるじゃねえか」
田村タカユキ、三十二歳。
わずかに昇給した給料からは、社会保険料や所得税、住民税が容赦なく引かれていた。スーパーへ行けば、米も卵も弁当も値上がりしている。
真面目に働き続けても、暮らしは少しも豊かにならない。
そんな現実に限界を迎えたタカユキのスマートフォンへ、見覚えのないアプリ《町づくり図鑑》が現れる。
【異世界へ移住し、町づくりを開始しますか?】
【はい】を押したタカユキが転移したのは、井戸が枯れ、人々が困窮する小さな村だった。
木材や石材を集め、町ポイントを使って、井戸や住宅、畑、公共施設を建設する。施設が住民に利用されれば図鑑が進み、新たな建物やスキル、町全体への効果が解放されていく。
町ポイントの獲得量と使い道は、すべて住民へ公開。私物化はできず、町の発展にしか使えない。
税や負担から逃げるだけではない。
払ったものが住民の暮らしとなって、目に見える形で返ってくる町を作るのだ。
これは、現代社会に疲れたおじさんが、枯れた井戸しかない村から、誰もが豊かに暮らせる町を作る物語。