あらすじ
夜、とある屋敷の寝室。男ははっと目を覚ました。何かの気配を感じたのだ。胸の奥をじわりと撫でられるような得体の知れない違和感。それは瞬く間に形を変え、寒気となって背筋を這い上がった。
男は枕に頭をつけたままゆっくりと首を傾けた。
「……ひっ」
すると思わず声を漏らした。部屋の隅に黒い塊があった。
室内を満たす闇を掻き集め、無理やり人の形に押し込めたような不自然な影。それは畳を擦るように――一切の物音を立てることなく――じりじりとこちらへ近づいてきた。
やがて、それが障子越しの月明かりに触れ、ぼんやりと輪郭を浮かび上がらせた。
「お前は……い、いや、あなたは……死神ですか?」