あらすじ
エレノアは、崖下で助けを求める自分を見捨てた婚約者ディートリヒによって、死亡したことにされた。
王弟レオンハルトに救われ、十日後に王都へ戻った彼女を待っていたのは、翌日に予定された自分自身の葬式だった。
そのまま姿を現せば、婚約者は悲劇の英雄を演じるだろう。ならば彼らが「死者には聞こえない」と思っている言葉を、すべて聞いてから生き返ろう。
レオンハルトから棺を借りたエレノアは、閉じた蓋の下で家族の別れを聞く。そして婚約者は、彼女を置き去りにした夜を美談に変え、参列していた愛人へ求婚した。
棺の中から、乾いた拍手が響く。
「どうぞ、お続けになって。ちょうど面白くなってきたところです」
自分の葬式を、自分の人生を取り戻す祝宴へ変える令嬢と、彼女の棺を用意した王弟の、少し不謹慎な逆転恋愛短編。