あらすじ
あらすじ
夜二十二時から午前三時までだけ開く、不思議な書店。
その店では、人の記憶を一冊の本にして買い取っている。
売られた記憶は二度と思い出すことができず、本人がその本を読んでも失われた記憶は戻らない。
店を訪れるのは、忘れたい過去を抱えた人々だけ。
そして、その書店は「記憶を売ろう」と強く願った者にしか見つけることはできない。
自分には何の価値もないと思いながら生きてきた十九歳の少女・辻桜もまた、その書店を訪れた一人だった。
しかし彼女は、店を訪れた誰もが記憶を売ってきた中で、「売らない」という選択をした客となる。
その選択をきっかけに、店主・緑野綴から書店で働かないかと誘われた桜は、記憶を本にする不思議な書店の一員となる。
悲しみから逃れたい人。
忘れられない後悔を抱える人。
大切な人を失った人。
そして、幸せな記憶を手放そうとする人――。
一冊一冊の本に込められた人生と向き合いながら、桜は少しずつ「人の価値」と「記憶の意味」を知っていく。
これは、忘れることが救いなのか、それとも苦しみなのかを問いかける、不思議な書店の物語。