あらすじ
星を見上げるのは好きだ。けれど、その光の向こうに神がいるとは、どうしても信じられなかった。
星学を得意とし、学年首席のルチア。星を愛しながらも、星を崇める信仰だけは幼い頃から理由もなく嫌っていた。
そんな彼の前に現れたのは、春なのにマフラーで口元を隠した新任教員・シノン。初対面のはずなのに、視線が合った瞬間、逃げなければという説明のつかない恐怖に襲われる。
放課後、シノンはルチアにこう告げる——この世界は目に見える大地だけでなく、星や魂、人には見えない領域が重なり合ってできている、と。そして「君とは、前にも会った気がする」と。
その日から、ルチアの周りで不可解なことが起き始める。初めて訪れる場所への懐かしさ。知らないはずの言葉への理解。星を見るたびよぎる、誰かの記憶。
星を愛する自分が、なぜ信仰だけをこれほど憎むのか。世界を調べるほど、ルチアは自分の魂とこの世界が、深く結びついていることを知っていく。
自分はかつて何者だったのか。シノンとは前世で何があったのか。なぜ自分は「世界の鍵」と呼ばれるのか——。
失われた前世の記憶と、星に隠された世界の真実。少年と一人の教師が、世界と自分自身の謎を解き明かしていく物語。