あらすじ
人口百五十万人を超える学生と研究者が暮らす、世界最大級の航法研究都市――通称「航法都市」。ここでは宇宙探査技術を応用した能力開発が行われ、学生たちは「航路演算」と呼ばれる特殊な技術を学びながら日常を送っていた。
高校二年生・天瀬悠斗は、飛翔体や人の軌道を瞬時に解析・修正する能力《飛翔演算(フライバイ)》の使い手。しかし能力の負荷を嫌い、普段は低出力の「はやぶさモード」しか使わない、ごく普通の学生として生活している。
相棒は、都市全域の情報を整理・分析する能力《管制塔(コントロール・タワー)》を持つ天城玲司。軽口ばかり叩く二人は、放課後に模型店へ寄り道したり、学食で宇宙開発談義に花を咲かせたりする平凡な毎日を楽しんでいた。
しかしその裏では、配送ドローンの誤進路、無人交通網の異常、人工衛星との通信障害など、一見無関係に見える不可解な事件が都市各地で発生していた。警備機関だけが気付いていたのは、それらすべてが「誰かに航路を書き換えられた」痕跡を残しているという事実だった。
やがて二人は、ルーマニアで発見された謎の金属塊「アイウドの楔」を巡る極秘研究へ巻き込まれていく。それは現代の工業用アルミニウム合金でありながら、正体も来歴も判然としない存在。その解析データは、都市の能力開発計画《ニューホライズンズ・コード》の核心へとつながっていた。
未知の航路を切り開くのは、力ではなく「正しい演算」。
科学、宇宙工学、青春、そして能力バトルが交差する、新世代サイエンスアクションが今、始まる。