あらすじ
王宮人事局の女性官吏、フローレンス・オルフェン子爵令嬢。
彼女は今、ひとりの男爵令嬢に頭を悩ませていた。
「フローレンス様でなければ嫌です」
「わたくしの事情を分かってくださるでしょう?」
王宮の臨時雇いとして働くメイベル・カーター男爵令嬢は、配属先での不調を理由に、人事局へ何度も相談を持ち込んでいた。
以前は、できるだけ事情を汲もうとした。
けれど一度応じた善意は、次の要求に変わった。
だからフローレンスは決めている。
泣かれても、縋られても、職務の線は越えないと。
そんな彼女の対応を、偶然目にした男がいた。
国境軍を預かる高位貴族、アルバート・ヴァルクレスト辺境伯。
美貌と軍権を持ちながら、紹介もない令嬢には視線すら向けない冷徹な男。
その彼が、淡々と職務を果たすフローレンスには、なぜか興味を示してきて――。
王宮人事局から始まる、線引き上手な子爵令嬢と冷徹辺境伯の恋のお話。