あらすじ

「一目見た時から、あなたを想っていました。どうか私と、結婚してください!」 子爵令嬢ヘルミーナ、二十歳。社交界では三年間、壁際の常連である。 夜会の真ん中で、侯爵令息から芝居がかった求婚を受けた。 柱の陰の取り巻きが賭け金を数えているのは、とうに見えている。 泣いて逃げれば「賭けに嗤われた令嬢」の名だけが残る――ならば。 彼女は扇を閉じて、にっこり笑った。 「お受けいたしますわ」 この国で、満座の前の求婚と受諾は、家門と家門の婚約として貴族院に登記される。 個人の悪ふざけでは、もう済まない。 翌朝、青ざめた令息は領地へ雲隠れ。 代わりに現れたのは、侯爵家の当主にして令息の兄、アルブレヒトだった。 「道は三つ、破談として違約金、弟を連れ戻して履行、あるいは――花婿変更の条項により、当主たる私が履行に立つ。 申し上げておくと、私は満座であの受諾を見て、王都で一番聡明な方だと思いました」 違約金で逃げれば、それこそ連中の賭けの勝ち札。逃げた弟の履行など罰にもならない。 では、三つ目なら? ――嗤った連中は、これから侯爵家当主の婚約者となった女の前で、毎晩頭を下げることになる。 「三つ目を、お受けします。ただし条件がひとつ。私を、お飾りにしないこと」 かくして王都の社交界は大混乱。 公認帳場には「あの婚約はいつ壊れるか」の賭けが今夜も立ち―― そして毎回、二人の手で空振りに終わっていく。 観察眼の鋭い令嬢と、生真面目な侯爵家当主のタッグが王都中の賭け帳を潰していく、社交界攻防コメディです。

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カクヨム
カクヨム2026/07/17
  • 現在の作品余興の賭けの求婚にニッコリと「お受けしますわ」と即答しました ~逃げた令息の家門に婚約を履行させて、王都の賭け帳を全部潰します~