あらすじ
年老いた元山賊十六人を、踊りで養う十七歳の座長――ニニンド。母の教えは「猿のように飛び、豹のように走り、熊のように襲え」。昼は道化として大道芸を、夜は芝居小屋で艶やかに舞う日々。
そんな彼の前に、ある日、スルマール王国の宰相ハヤッタが現れる。
「ニニンド様のお母様は、スルマール王国のお方でございますか」
母は、王家を捨てて姿を消したおてんば姫だった。行方知れずのまま、宮廷のすべての書類から名前ごと消された王女――その息子が、自分だというのか。
「一緒にスルマール王国に来てくださって、国王にお会いくださいませんか」
「それはできません」
母の教えは「自由こそが、一番大切なもの」。だが、年老いた仲間たちの目の治療という交換条件に、ニニンドはしぶしぶスルマール王国行きを承諾する。
待っていたのは、深い悲しみに沈む国王、忍び寄る陰謀、そして、らくだ競争の絶対王者だという気の強い砂漠の娘サララや、聡明な少年リクイとの出会い。
自由を愛する元山賊の座長は、望まぬまま王太子候補に担ぎ上げられるが、その中で本当の愛を見つけ、また国を揺るがす真実にたどり着く。
*本作は、長編ファンタジー『砂漠の国の物語』の第一巻「ニニンドの巻」(全八十八話・完結)です。