あらすじ
三十一年前、御影村で十二人の住民が一夜にして姿を消した。
未解決のまま残された、御影村十二人集団失踪事件。
出版社でノンフィクションを担当する編集者・榊冬真は、散逸した事件資料を生成AI《RE:MEM》で復元する仕事を任される。
しかし、AIが作成した失踪者一覧には、公式記録に存在しない十三人目の名前が書き加えられていた。
久世小夜、十二歳。
出力ミスだと判断し、その名前を削除する冬真。
ところが翌朝、古い新聞、学籍簿、集合写真、そして村人たちの記憶まで、小夜が最初から存在していたものへと変わっていた。
さらに三十一年前の写真には、当時その村にいるはずのない幼い冬真自身が写っている。
AIが復元しているのは、失われた記録なのか。
それとも、事件に都合のよい過去を新しく作っているのか。
存在しなかった家族。
まだ発見されていない遺体の発見記録。
削除したはずなのに戻ってくる人物。
本文より先に現実を決める章題。
そして、最終出力へ混入する内部修正メモ。
次章で少女の遺体を発見する。
主人公にはまだ知らせないでください。
文章が修正されるたび、現実のほうが書き換わっていく。
冬真は郷土資料室の職員・真壁志乃とともに、記録から消された少女と、御影村で起きた本当の事件を追う。
これは、存在を奪われた少女の名前を取り戻す物語。
そして、今あなたが読んでいる小説そのものが、少しずつ壊れていく物語。