あらすじ
営業社員・相馬直人は、訪問先の工場で、腕を機械に巻き込まれながら働き続ける男を目撃する。
周囲の作業員は機械を止めない。本人も「大丈夫です」と答える。相馬もまた、自分には判断する権限がないとして、その場を立ち去った。
翌朝、相馬が提出した報告書は書き換えられていた。
〈相馬直人に軽微な損傷あり。業務への影響なし〉
腕を失った作業員。机として使用される児童。死亡患者だけを治療する病院。家族を食材として保存する家庭。
異常を記録し、別の場所へ送るたび、元の場所は正常に戻っていく。
相馬は、自分や家族を守るため、異常を「より悪い人間」へ移し始める。
だが、記録は怪異を保存しているのではない。
それを読んだ人間に、同じ選択をさせているだけだった。
見ているだけなら、本当に何もしていないと言えるのか。
報告書、議事録、録音記録、防犯映像によって進行する社会派モキュメンタリーホラー。