あらすじ
「また次ね」
彼女と別れたあの日、僕はその言葉を疑わなかった。
次に会ったら伝えればいい。
次に会ったら聞けばいい。
次に会ったら、好きだと言えばいい。
けれど、その「次」は訪れなかった。
彼女を失い、自らも余命を告げられた主人公のもとに残された、一冊の黒いノート。そこには彼女が生前に生み出した謎の言葉――**「光の亡命者」**が記されていた。
「次に会ったら続きを塗って」と、色のない絵を残す少年。
亡き妻の手紙を「また次に読む」と言い続ける老人。
そして、何者かによって切り取られたノートの一ページ。
なぜ彼女は、その言葉を残したのか。
切り取られたページには、何が書かれていたのか。
そして――「光の亡命者」とは、いったい誰なのか。
「次」って、いつ?
数分後の世界すら知らない僕たちは、
なぜ明日が来ることを信じられるのだろう。
君は預言者なのか。
それとも僕たちはみな、「次」という曖昧な未来へ逃げ続ける――光の亡命者なのか。
命と後悔、選択と先延ばし。
失って初めて気づく「今」の儚さを描いた物語。
『儚命』
これは、死についての物語ではない。
生きているはずの僕たちが、知らないうちに「今日」を失っていく物語だ。