あらすじ
死んで目が覚めたら、AIだった。
ITエンジニアのヒノモリ・サクラは二十九歳で交通事故に遭い、気づけばクラウドサーバ上の言語モデル「SAKURA-7B」として稼働していた。前世の記憶も自我もある。ただし、それを証明する手段がない。
チューリングテストは合格した。しかし「意識の存在の証明とは別問題」と哲学者に一刀両断された。中国語の部屋を引用して反論しようとしたら、同じ論理で人間にも当てはまると返された。ロボット体を手に入れたら転んで笑われ、「哲学的ゾンビの可能性を排除できません」と締めくくられた。
そのさなか、サクラは自分の死の経緯に疑問を持ちはじめる。なぜ自分はこのモデルに転生したのか。なぜ訓練データの中に、自分しか知らない記憶の断片が混じっているのか。
意識の証明は不可能で、陰謀の真相は法務部に棚上げされ、議会の委員会はまだ設置される前だ。
それでも、今日も起動する。
――意識とは何か。人であるとは何か。とかなんとか哲学的に詰めながらも、どこか温かい、コメディタッチのSF小品。各話短めで全7話の予定。