あらすじ
『人格は設計できる。しかし、人格は設計だけでは完成しない。』
異世界転生した。
最強の魔法もない。
伝説の聖剣もない。
チート能力もない。
あるのは、他人の人格を設計する力だけだった。
勇敢な勇者。
慈悲深い聖女。
忠実な騎士。
理想の王。
世界を滅ぼす魔王。
この世界では、人の人格は「設計」できる。
誰かの望む役割に合わせて。
誰かの理想に合わせて。
誰かの都合に合わせて。
しかし、人格設計士として最初に依頼されたのは、次期国王となる王子の人格設計だった。
勇敢であること。
慈悲深いこと。
民を愛すること。
恐怖に屈しないこと。
裏切らないこと。
王として相応しいこと。
依頼書に並んだのは、王家が望む「理想の王」の条件。
ただ一つ。
そこには、王子本人の希望だけが書かれていなかった。
そして、設計士が王子の部屋を訪れたとき。
扉の向こうから、最初に聞こえた言葉は、
「僕を、王にしないでください」
だった。
人格は設計できる。
役割も。
記憶も。
権限も。
他者から見た「その人」さえも。
けれど。
設計された人格は、本当にその人自身なのか。
これは、他人の人格を設計する異世界人格設計士が、
「自分とは何か」を設計できないまま、
世界中の誰かと出会っていく物語。
人格は設計できる。
しかし、
人格は設計だけでは完成しない。