あらすじ

東京の地図を作る会社「東京測図社」に勤める桐谷真尋は、長年の仕事仲間である久住伊織とともに東京の街を歩き続けていた。朝の路地で地図に載っていない小さな店名を見つけた日を境に、真尋は少しずつ違和感を抱き始める。隣にいて当たり前の存在が、いつの間にか特別な意味を持ち始めていたのだ。 古い住宅街の抜け道、雨上がりの坂、商店街の裏路地。街の変化を記録する仕事の中で積み重ねてきた信頼は、静かに形を変えていく。しかし、恋と認めてしまえば今の関係が壊れてしまうかもしれない。伊織もまた、胸の奥に同じ想いを抱えながらその距離を守り続けていた。 大型地図改訂プロジェクトの終盤に差し掛かったころ、真尋は気づく。自分が隣にいたのは仕事だからではなく、その人の隣を選び続けていたからなのだと。新しい東京の地図が完成する夜、地図には載らない帰り道で、長い間名前を与えられなかった感情が、静かに恋へと変わっていく。

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小説を読もう2026/07/17
  • 現在の作品地図には載らない帰り道