あらすじ

中学三年生の橘瑠璃は、母からヴァイオリンに触れることを固く禁じられていた。 理由を尋ねても、母は何も答えてくれない。 それでも音への憧れを捨てられない瑠璃は、父が密かに用意してくれたヴァイオリンを抱え、市民音楽ホールの使われていない旧練習室で、誰にも知られないよう弾き始める。 そんな秘密の時間に現れたのは、オーストリアから来日した天才少年、フリッツ・シュナイダー。 圧倒的な技術を持つ彼は、瑠璃の未熟な演奏を容赦なく指摘する。 「逃げ場所にしているだけなら、やめた方がいい」 冷たい言葉に傷つきながらも、瑠璃は彼の音に惹かれていく。 しかしフリッツもまた、亡き師から託された一挺の古いヴァイオリンと、消せない嫉妬を抱えていた。 母が音楽を恐れる理由。 若くして亡くなった天才ヴァイオリニスト・花岡香織。 海を越えて守られてきた楽器。 そして、瑠璃が幼い頃に聴いた、忘れてしまった最初の音。 封じられていた過去が明らかになるとき、瑠璃は問われる。 母に嫌われることを恐れ、好きな音を諦めるのか。 それとも、自分の意思で舞台に立つのか。 不完全な少女と孤独な天才少年が、互いの音を聴きながら一歩ずつ進んでいく、秋色の音楽青春物語。

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小説を読もう2026/07/17
  • 現在の作品秋色のヴァイオリン 〜弾いてはいけない音が、初恋を連れてきた〜