あらすじ
売値三十円。
硬い。重い。味がない。
ダンジョン探索者たちから「外れ」と呼ばれる、黒いパン。
臆病な初級探索者・青空陸は、フォレストウルフに追われて逃げ込んだゴミ部屋で、壊れかけの少女型オートマタ・アンズと出会う。
アンズは索敵や危険予測には優れているものの、人間や魔物を傷つけることができない支援専用機。
戦うことが苦手な陸と、戦闘機能を持たないアンズ。
どう考えても、ダンジョン攻略には向いていない二人だった。
そんな彼らが手に入れたのは、誰も拾わない三十円の黒パン。
襲いかかる魔物を前に、アンズは黒パンを構え、淡々と告げる。
「対象の口腔部を確認。食事支援を開始します」
次の瞬間、黒パンは魔物の顔面へ直撃した。
「それは給餌じゃない!」
三十円の外れドロップと、どこかズレた支援オートマタ。
これは臆病だった一人の探索者が、黒パンに振り回されながら、誰かを守れるほど強くなっていく物語。