あらすじ

天正十年(1582年)、山崎の戦いで羽柴秀吉に敗れた明智十兵衛光秀は、小栗栖の竹林で百姓の竹槍に倒れた――はずだった。 瀕死の光秀を救ったのは、かねてより親交のあった徳川家康。 光秀は武士としての身分を捨て、名を「南光坊天海」と改め、黒衣の僧として歴史の闇に潜むことを決意する。 すべては信長の苛烈な覇道でも、秀吉の虚飾の黄金でもない、誰もが怯えずに暮らせる「真の泰平の世」をこの国に築くためであった。 三十数年後、豊臣家が滅び、ついに時代が動く。 家康の「黒衣の宰相」となった天海は、江戸の街に比叡山を模した霊的障壁(寛永寺)を設計。 さらに、家康の死後は日光へと向かい、職人たちに命じて東照宮の随所に明智の家紋である「桔梗紋」を暗号として刻み込ませる。 天海の策略はそれだけにとどまらない。 大奥の最高権力者・お福(後の春日局)は、かつて光秀のために命を捧げた重臣・斎藤利三の娘であった。 天海はお福と手を組み、二代将軍・秀忠の嫡男である竹千代(後の家光)に、明智の「冷徹なる秩序の思想」を骨の髄まで叩き込む。 それは、織田の血を引く竹千代を、明智の意志で支配するという「本能寺の変」の真の決着であった。 さらに竹千代の出生には、家康、そして天海をも巻き込む恐るべき「血の秘密」が隠されており――。 武士として一度死んだ男が、呪術、大奥、そして血脈の糸を操り、徳川の世を裏からリデザインしていく。 これは、歴史の表舞台から消し去られた智将が、三百年の泰平という名の「二度目の天下」を成し遂げるまでの壮大な歴史ifミステリー。

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小説を読もう2026/07/17
  • 現在の作品明智光秀、二度目の天下 ~天海僧正異聞~