あらすじ
前世は、戦国の世を生きた名もなき下級武士。
戦に明け暮れ、
最後は睡魔に負けた一夜の過ちで、
故郷も家族も守れずに死んだ。
——気づけば、剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境の村で普通の少年として育った彼は、
十三の年、故郷を襲った盗賊を無意識に斬り伏せ、
前世の記憶を取り戻す。
「もう二度と、大切なものを失わない」
チートスキルはない。
特別な魔法も使えない。
あるのは、血と泥にまみれて積んだ戦場の経験と、
一日も欠かさぬ鍛錬だけ。
朝は剣を振り、昼は畑を耕し、夕には村を見回る。
魔物の巣は、群れになる前に摘む。
戦いの九割は、戦いになる前に終わらせる。
抜かなくていい未来のために、今日も魔物を狩る。
やがて人々は気づく。
魔物被害に沈む辺境で、
あの村だけが、ほとんど何も失っていないことに——。
彼の武器は、毎日を裏切らないこと。
これは世界を救う英雄の話ではない。
故郷の"いつも通り"を守り抜く、一人の侍の物語である。