あらすじ
「もっと強く、もっと重ねろ」。そう信じる世界に、一人の薬剤師が転生した。
声を上げるのが苦手で、確かめることばかりの、地味な男。魔法の才はゼロ。周りには「役立たず」と笑われる。
けれど彼の目には、ほかの誰にも視えないものが視えた。霊薬と魔法を重ねるほど、人が倒れていく——その「相互作用」が。
彼は一冊の手帳に、街じゅうの飲んだものを書きとめ、危ない組み合わせを一つずつ止めていく。派手さはない。ただ、確かめて、引くだけ。それでも、救える命があった。
やがて世界を滅びへ導く大災厄の黒幕が、前世で彼に「確かめるな」と迫った、あの宿敵だと判明する。
倒すのでも、断ち切るのでもなく。彼が選んだのは——危ない繋がりを止め、良い繋がりを組み直す道だった。
うつむいてばかりだった男が、震える声で、世界に問い直す。
「重ねる前に、確かめさせてください」。
異世界おくすり手帳、開店です。