あらすじ
辺境都市ハルガの冒険者ギルド「暁の灯」には、うだつの上がらない雑用係のおじさんがいる。床を磨き、備品を直し、新人冒険者にからかわれても、へらりと笑っている——どこにでもいる42歳。
のはずだった。
新人受付嬢のミリア(17)は、見てしまった。深夜、箒一本でワイバーン三頭を叩き落とすおじさんを。
彼の正体は、十年前の魔王戦役で戦死したはずの大英雄「灰燼の剣」。生きていることが知られれば、国と教会が動く、歩く国家機密。
「……君、口は堅い方?」
「墓場まで持っていく所存なのですっ」
かくして成立する、二人だけの共犯関係。ギルドのみんなには内緒。王都の査察官にはちょっと追われ気味。それでも今日も彼はギルドの片隅で床を磨き、彼女は受付カウンターで、にやけそうになる顔を必死に引き締めている。
これは、最強なのに床を磨きたいおじさんと、彼の正体と彼への恋心をひとりで抱えてパンク寸前の受付嬢が送る、秘密の日常譚。
※受付嬢は毎話かわいい保証つき。おじさんは毎話、たぶん最強。