あらすじ

王都の片隅で時計修理の店を営むノエル、二十三歳。亡き父は王室付きの時計師でした。組合は女に親方の座を認めてくれないけれど、腕だけは父からぜんぶ受け継いだ自負があります。 ある日、店に黒塗りの馬車が来ました。行き先はランベール公爵邸。執事が言うには、あのお屋敷では三年前から、大小三十七台の時計がすべて止まっているのだとか。 しかも、当主の公爵様のご依頼はこうでした。 「直せ。ただし、動かすな」 直すのに、動かさない。時計師への依頼として、これほど奇妙なものはありません。三十七台の文字盤は、すべて同じ時刻を指したまま――午後四時十二分。 止まった時計には、止まった理由があります。ならば、動けない人にも。 ぜんまいと歯車と、たったひとつの懐中時計のお話です。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/07/16
  • 現在の作品時計職人の娘は、三年前からすべての時計が止まった公爵邸に呼ばれました