あらすじ
現実で6人が使える身体は、1つしかなかった。
2048年。VRが学校、仕事、競技、娯楽にまで普及した時代。
17歳の高校生・天城零司の内側には、慧、凪、烈、匠、遊という5人の独立した人格がいる。
6人は1つの身体を譲り合いながら、共通のプレイヤー名《NEXUS》で数々のゲームを戦ってきた。
誰かが操作し、誰かが分析する。
誰かが敵意を見抜き、誰かが仲間の異変に気づく。
誰かが装備を調べ、誰かが定石にない道を見つける。
6人でありながら、ゲームの中でも動かせる身体は1つだけだった。
そんな零司のもとへ、大会優勝の賞品として新型VR機器《MIRROR 01》が届く。
利用者の意識を解析し、その人自身に最適化された仮想身体を生成する次世代機。
しかし、零司を解析した神経鏡映システムが検出したのは、1人ではなかった。
《複数の独立した意識を検出》
《個別身体の生成を開始します》
剣と魔法のVRMMORPG《アステリア・クロニクル・オンライン》。
その世界で6人は、初めて別々の身体を手に入れる。
すべての武器を使いこなそうとする人間《カイト》。
魔法を習う前に、魔法の仕組みそのものを調べ始めるエルフ《ロゴス》。
傷ついた人を放っておけない天翼族《セレン》。
罠と心理戦で敵の逃げ道を潰す夜人《レイズ》。
素材と構造にしか興味がないドワーフ《アンヴィル》。
魔物を倒すより、友達になろうとする狐獣人《パック》。
職業は存在しない。
完成された戦闘スキルも、最初からは与えられない。
戦い、学び、作り、助け、発見する。
プレイヤー自身の行動だけが、技能となり、スキルとなり、それぞれ違う力へ進化していく。
6人は別々の種族を選び、別々の都市から、それぞれの人生を始める。
剣、魔法、治療、暗殺、生産、探索。
各地で名を上げ始めた6人が、現実では同じ1人だということを、世間はまだ知らない。
やがて、プレイヤーたちは彼らをこう語る。
「あのギルドには、化け物が6人いる」
これは、1つの人生しか持てなかった6人が、もう1つの世界で6つの人生を手に入れる物語。