あらすじ
本作品は、小学校の教室において、先生が子供たちとの交流を通じて成長していく様子を描いた短編小説である。
先生になって二年目の主人公の正美は、三年二組の担任を言い渡された。子供たちは皆、元気いっぱいだったが、一人だけ気になる生徒がいた。彼の名前は総一郎、いつも授業に集中できなかったり、教室を飛び出したりして、正美の手を煩わせていたのだが……。
そんなある日、総一郎が教室に現れなかった。家に問い合わせてみると、とっくに家を出たのだという。心配になった正美は、雨が降りしきる中、総一郎の行きそうなことろを探したのだったが、学校近くの丘の上で、総一郎の姿を見つける。涙を浮かべる総一郎は、正美の説得にしぶしぶ学校に戻ることになった。
そんな総一郎が、ある日、文鳥のひな鳥を連れてきた。親鳥からはぐれてしまったところを見つけたのだという。総一郎は、正美に文鳥を飼うことを懇願する。正美は校長と相談したうえで、総一郎たちクラスの子供たち全員がきちんと面倒を見るのならという約束で、飼うことを認めたのだった。
それからというもの、子供たちはそれぞれ分担して文鳥の世話を始める。懸案だった夏休みの間も、子供たちが話し合ってうまく切り抜けていく。クリスマス会では、ぶんちゃんの歌を歌ったり、一緒に記念写真を撮ったりしていた子供たち。
やがて、ぶんちゃんが教室にやってきて、一年が過ぎようとしたとき、不意に総一郎が口にした。ぶんちゃんを逃がしてあげるべきではないかと。それには正美自身驚いたが、自然に返すことをしきりに訴える総一郎の話を聞いていて、三学期の終業式の日にクラス全員で、ぶんちゃんのお別れ会を開催することになった。
子供たちの成長ぶりと、総一郎の変容を振り返っていた正美は、大空に飛んでいくぶんちゃんを優しい気持ちで見守っていたのであった。
(9755字 原稿用紙換算27枚)
この作品は、昨年私が短編小説として二作目に書いたものです。元小学校の教員ということで、かねてから教室を舞台にした物語を書いてみたいと思っていました。
テレビのニュースなどで、連日のように教育を巡る暗いニュースが流れていますが、本来学校は子供たちのもの、教室は子供たちと先生の笑顔があふれている場所です。
問題はいろいろあるのでしょうが、明るい教室であってほしいという思いから、本作品を執筆いたしました。