あらすじ
「精霊に愛されぬ紛い物が、聖女を名乗るとはな」
王立神殿の大広間で、王太子ジェラルドから婚約破棄と国外追放を言い渡されたセラフィーナ。義妹アメリアが披露した「光り輝く精霊」を前に、群衆は真の聖女だと歓声を上げる。
だが、前世が過労死した元システムエンジニアであるセラフィーナには、すべてが見えていた。
――あの精霊、契約じゃなくて“餌付け”ですよね。名前を交わしてないの、バレバレなんですけど。
精霊契約とは、精霊の《真名》を知り、名を交わした者だけが結べる対等な絆。魔石で無理やり縛りつけた借り物の力は、ログに残らない――つまり、契約ですらない。
それを誰よりも知る彼女は、泣き喚くことも縋ることもなく、優雅に一礼して断罪劇を裏切ってみせる。
「精霊は、名で結ばれるもの。“愛されぬ紛い物”がどちらか、じきに分かりますわ」
忠実な侍女ネリーと、真名を記した“業務手帳”を携え、セラフィーナは隣国アルデバランへと亡命する。
名を与えられぬまま酷使される精霊たちに、本当の名前を。支配ではなく信頼で結ばれる契約を。
冷静な観察眼と前世仕込みの仕事術で、彼女は新天地に静かな革命を起こしていく。
追放は、終わりではなかった。ここから始まる、名前の契約の物語。
※ざまぁ・追放・悪役令嬢・スローライフ要素を含む、痛快な逆転劇です。