あらすじ

人の精神には、魔法の源となる「魔力の弦」が宿る世界。その弦の狂いを整える「調律師」は、国家の命運を左右する存在だった。 伯爵令嬢エルゼは、母譲りの神業とも言える調律の才能を持ちながら、強欲な継母と無能な義妹によって「耳の不自由な無能」というレッテルを貼られ、地下室で義妹の身代わりとして調律を強要される日々を送っていた。 しかし、運命の夜会。第二王子フェリックスは「不協和音を立てる不快な女」とエルゼを罵り、婚約破棄と国外追放を告げる。すべてを失い夜の街へ放り出されたエルゼ。そこに現れたのは、漆黒の馬車に乗り、死神と恐れられる軍神・ジークフリート公爵だった。 「見つけたぞ、私の調律師(アジャスター)」 強大すぎる魔力の暴走に苦しむ彼は、かつて戦場で自分を救った「名もなき指先」の主がエルゼであることを見抜いていた。彼はエルゼを即座に保護し、自らの命を預ける「契約結婚」を申し込む。 公爵邸での生活は、エルゼにとって初めての「大切にされる日々」だった。夜ごと繰り返される秘められた調律。指先から伝わる彼の情熱と孤独。二人の旋律が重なる時、死に体だった公爵の「黄金の弦」は、かつてない輝きを放ち始める。 一方、エルゼという「本物」を失った王宮では、不協和音が広がり始めていた。偽りの天才・ロザリアの化けの皮が剥がれ、王子の魔力は汚濁していく。やがてフェリックスは禁忌の力に手を染め、帝国全土を揺るがす「絶望の旋律」を響かせようとする。 追放された聖女と、孤独な軍神。二人が奏でる愛の二重奏(デュエット)が、狂った世界を美しく塗り替えていく――。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/07/16
  • 現在の作品廃棄された聖調律師は、冷徹公爵の震える弦(こころ)を癒やす 〜婚約破棄から始まる帝国救済の契約結婚〜