あらすじ
幼い頃、高熱を出しても誰にも気づいてもらえなかった。
「一人でも大丈夫」
それは家族も、婚約者も、みんなが私へ向けた言葉だった。
婚約者は病弱な妹を選び、私は北辺の辺境伯へ嫁ぐことになる。
歓迎はされない。
けれど辺境には、誰かの小さな異変へ気づこうとする人たちがいた。
咳をする使用人。
冷える部屋。
湿った備蓄庫。
小さな「気づき」を積み重ねるうち、領地は少しずつ変わっていく。
そして無口な辺境伯ラウレンは、誰よりも先に私の疲れや我慢へ気づいてくれた。
これは、誰にも気づいてもらえなかった令嬢が、「ここに居ていい」と言ってくれる居場所を見つけるまでの、小さくて温かな恋のお話です。