あらすじ
アルペン公爵家の当主マカロニ=アルペン公爵は、王国でも有数の名門貴族であり、国王からも信頼される優秀な人物だった。
しかし、そんな彼には誰にも負けない弱点がある。
それは――愛娘クリーミーを溺愛しすぎていること。
ある日、国王の命によってクリーミーと第一王子ラクレット殿下の婚約が決まる。王子は民からも慕われる完璧な人物であり、誰もが羨む婚約相手だった。
だが、父親であるマカロニ公爵だけは納得できなかった。
「可愛い娘を、簡単に王子へ渡せるものか!」
娘が傷つく未来を何より恐れる公爵は、王命を覆すことができないならば、王子のほうから婚約破棄を申し出るよう仕向ければいいと思いつく。
そして彼は、一人の協力者を呼び寄せる。
その名は、ピンク色の髪を持つ男爵令嬢リコラ=ローズ。
貧しい男爵家で暮らす彼女に、公爵はある極秘任務を依頼する。
「王子殿下の心を惑わせ、クリーミーとの婚約を考え直すよう仕向けてほしい」
それはまるで、婚約者を奪う悪役令嬢のような役目だった。
しかし、リコラが望んでいたのは恋ではない。
家族を救うため、そして報酬を得るための大切な任務だった。
こうして始まった、前代未聞の婚約破棄作戦。
だが、リコラは知らなかった。
ラクレット王子はクリーミーとの婚約を迷惑だと思っているどころか、彼女を大切に想っていることを。
さらにクリーミー自身も、父親の思惑とは裏腹に、優しく純粋なリコラへ少しずつ心を開いていく。
王子、婚約者、公爵令嬢、そして任務を受けた男爵令嬢。
それぞれの思惑が交差する中、娘を守るために始めた公爵の計画は、誰も予想しなかった方向へ進んでいく。
果たして、親バカ公爵の婚約破棄作戦は成功するのか。
それとも――。
愛娘の幸せを願う一人の父親の暴走が、全員を幸せへ導く奇跡を起こすのか。