あらすじ
上條咲良は都会のレストランで働いていたが、病気の父親の介護のため地元に帰ってきた。
彼女の家は、代々大口真神(おおくちのまがみ)、ニホンオオカミが神格化された「おいぬさま」を祀る小さな社を守ってきた由緒ある家だ。
介護していた父親が亡くなったのちのある日、買い物帰りにおいぬさまにお供えをしようと鳥居をくぐると、不思議な世界、隠り世(かくりよ)に迷い込んでしまう。
目の前にあったのは立派な旅館で、そこは咲良の家が大事にしていた社の主であるおいぬさま、昴(すばる)の経営するあやかしや神々、その使いが湯治にくる温泉宿だった。
なんとか現世に帰りたい咲良だが、上位の神使や神の協力がないと現世には帰れないらしい。昴の協力があれば帰れるが、どうやら彼は人間嫌いらしい。
宿の従業員に助けられ、あやかしのふりをして働き始めた咲良。彼女は、ワインや洋食の知識で徐々に昴に認められていく。実は、昴は咲良が人間であることにとっくに気づいていたのだ。
さまざななトラブルを乗り越えて錦屋で働く中で咲良は徐々に昴に惹かれていくが、隠り世では異分子である人間の咲良の存在がリークされてしまい、昴は「咲良とはいずれ所帯を持つ予定だ」と咄嗟に嘘をついて……
これは、嘘から始まるふたりの恋の物語。
【登場人物】
上條咲良(かみじょうさくら):隠り世に迷い込んだ人間。二十五歳、東京のホテルのレストランでホールスタッフとして働いていた。料理は趣味レベルだが、ワインの知識は豊富。
昴(すばる):東北の海辺の農村にある大口真神社(おおくちのまがみしゃ)で祀られている神さま。隠り世で錦屋という温泉宿を営んでいる。江戸時代の生まれ。人間とは因縁があるらしく、人間嫌いと有名。
※実在の施設や出来事とは関係ありません、フィクションとしてお楽しみください。
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