あらすじ
あらすじ
繰り返す悪夢と幻覚に追い詰められた青年。花白勇気は、雨宮精神科病院で特別な睡眠検査を受ける。そこで知ったのは、人の夢に潜り、心を侵食する怪物〈ナイトメア〉を狩る者――〈バク〉の存在だった。自分の中から生まれたナイトメアを消さずに取り込んでしまった勇気は、経過観察のため旧病棟で働くことになる。だが彼には、夢の中で他人の感情や知覚の一部を受け取る力が芽生えていた。感情を感じることと、その意味を理解することは違う。答えを急げば、救いは暴力に変わる。鍵のない部屋、声を失った少女、他人の心を一つの正解へ閉じ込めるナイトメア。勇気は恐怖と誤解を重ねながら、返事が来るまで待つという、もっとも不確かな対話を学んでいく。
登場人物紹介
花白勇気
周囲を安心させるため「大丈夫」と言い続け、自分の感情を切り捨ててきた青年。自ら生んだナイトメアを体内へ取り込んだことで、他人の夢や感情に異常な形で接続し始める。
雨宮千鶴
雨宮精神科病院の院長で、老練なバク。古い真鍮のランタンをクレドとし、夢の中に隠されたものを照らす。ただし、照らしたものの意味を決めることはしない。
黒瀬真琴
清潔感のあるワイルドな風貌の中年男性。寡黙で実務的なバクで、光る縄のクレドを使い、仲間の保護・拘束・退路確保を担う。奈緒への指導は厳しい。
朝倉奈緒
二十一歳の見習いバク。夢の中にある感情の流れや道筋を感知できるが、まだクレドを持たない。怖さを抱えながらも前へ進む、勇気に最も近い立場の相棒。