あらすじ
九歳で聖女候補に選ばれたメレディは、十年間、神殿で祈りと奉仕に励んできた。
けれど、起こせるのは切り傷を治す、熱を少し下げる、泣く子を眠らせるといった『小奇跡』ばかり。正式な聖女候補にはなれないまま、朝の祈りも、食事の支度も、皿洗いも洗濯も、なぜか彼女一人に押しつけられていた。
ある朝、メレディはようやく気づく。
「私は搾取されている」
その直後、女神さまは告げた。
『神殿を出てお行きなさい。そして、悪の道を歩んでみなさい』
悪の道を歩むと決めたメレディは、まず聖女候補を辞め、ただ働きをやめることにした。これからは、施した奇跡の対価を受け取り、奪われたものを取り返すのだ。
けれど、彼女が悪だと思っている行動は、なぜか周囲からはまっとうな権利回復に見えるようで――。
小さな奇跡しか起こせないと十年こき使われた聖女候補が、悪の道と勘違いしながら自分の価値を取り戻す、勘違い聖女コメディ。