あらすじ
九九を教えたら、焚刑になる世界の話だ。
魔術は神の書いた原典の「引用」で、引用には免許が要る。免許は大学が売っている。買えない貧民は、字を覚えるのも禁止。
その裏路地で、男は九九をパン一つで売っていた。もちろん、無免許で。
ある日、押収された彼のノートの余白から、まずい証明が見つかる。
――免許は、飾り。正しく読めば、誰の舌でも魔術は使える。
二百年の権威が、落書き一つで詰んだ。
読んでしまったエリート検閲官。真理に値札をつける金貸しの寡婦。正しいと知った上で焼きに来る、帝国一真面目な天才審問官。
そして焚刑台の上、男は帝国を相手に商談を始める。
武器は、頭と、チョークと、経済。
皮肉全開、焚刑台のダークファンタジー。