あらすじ
職場の同僚を殺したという濡れ衣を着せられ、五年間服役したミラ。
再審によって無罪を勝ち取り、ようやく自由を取り戻したその日。返却された所持品の中に、あるはずのない黒い鏡が紛れ込んでいた。
鏡に映っていたのは、血に染まった衣服をまとい、牢獄で処刑を待つ銀髪の少女。
――私は、殺していない。
その声に導かれたミラが次に目を覚ました時、彼女は侍女殺害の罪に問われた“悪役令嬢”の身体に入っていた。
凶器は寝室から発見され、衣服には被害者の血が付着。さらには殺害を予告していたという複数の証言まで揃っている。
処刑は、翌朝。
だが、五年間にわたって自分の捜査記録と裁判資料を読み続けたミラから見れば、その筋書きはあまりにも杜撰だった。
異世界で得た能力《真罪顕示》は、犯人の名前を教えてくれる力ではない。
証拠を集め、虚偽を崩し、真実を完成させた時にのみ、隠された罪を人々の前へ顕す力だった。
悪役令嬢の無実を証明するため、ミラは異世界で再び冤罪と向き合う。
しかし、事件を調べるほど、ある疑念が膨らんでいく。
証拠の混ぜ方。
標的を孤立させる手順。
自分は表へ出ず、第三者に告発させるやり口。
その冤罪の作り方は、五年前にミラを殺人犯へ仕立てた真犯人の手口と、あまりにもよく似ていた。
犯人もまた、別人の顔と名前を手に入れ、この異世界のどこかで生きている。
今度は、奪われたままでは終わらない。
二つの世界で重ねられた嘘を暴き、すべての逃げ道を証拠で塞ぐ。