あらすじ
結婚して二十九年半。
味噌汁にキュウリを入れるか、目玉焼きには何をかけるか――。
今日も私は、頑固な夫とくだらない口喧嘩を繰り広げていた。
ノラ猫のオハギちゃんのこと、昔の浮気疑惑のこと、そして毎月届く花束のこと。言い争うたびに、互いに隠していた本音が少しずつこぼれ落ちていく。
そんな中、私は夫に問い詰める。
「結婚してから二十九年、一度も聞かせてくれなかった言葉を、ちゃんと言って」
笑って、怒って、泣いて――最後に明かされるのは、この夫婦喧嘩に隠された、切なくも少しぞっとする真実。
愛する人に、本当に伝えたかった言葉とは。