あらすじ
女性専用シェアハウス型社宅「オンブローム館」——でも住人は誰もそうは呼ばない。 みんな、こう呼ぶ。
「オンボロ館」
会社都合でマンション型の社宅に入れなくなった新入社員・果歩は、築四十年、風呂トイレ共同のこの古い建物に入居することになる。 壁は薄く、隣の住人の咳もくしゃみも筒抜け。
人付き合いが苦手で他人との濃密な関わりを持たなかった果歩にとって、それは苦痛以外の何ものでもなかった。早くここを出て、静かなマンションタイプの社宅に移りたい
——そう思っていた。
この社宅に住むのは職種も年代もバラバラな女性社員。
シングルマザーの経理、出張ばかりのSE、引きこもりのプログラマー、勤続二十年のベテラン総務……
みんなオンボロ館に住む理由を持っていた。
同じ「壁の薄さ」が、ある人には苦痛で、ある人には救いだった。 一年をかけて、果歩は少しずつそれに気づいていく。
古くて、狭くて、少しうるさい。でも、灯りが消えない場所の物語。