あらすじ
『役立たず僧侶の僕が「弱い」と捨てられた仲間を集めたら、全員が規格外の天才でした 〜世界で唯一の魂律師は、人の本当の才能を見抜く〜』
十五歳で才能を判定する「魂鏡泉」の儀式により、辺境の少年ミハルは「僧侶」の道を歩む。しかし六年に及ぶ教会での修行を終えても、神聖魔法の才能は伸びず、中央教会にも残れなかった。師の勧めで冒険者ギルドを訪れた彼は、そこで三年間も初心者を示すEランクのまま、誰も受けたがらない安い依頼を黙々と続ける戦士リシェルと出会う。周囲の冒険者は皆、彼女を「才能のない戦士」と笑い、同級生でさえ善意から諦めるよう勧める。しかしミハルだけは、報酬より村人の暮らしを優先し、馬鹿にされても誇りを失わない彼女を見て、「この人は強いと思います」と口にする。
やがて二人は狼鬼討伐の依頼を受けるが、想定外の強敵との遭遇により絶体絶命の危機へ陥る。その戦いを通して、ミハルはリシェルが「才能がない」のではなく、「自分に合わない戦い方を押しつけられていた」ことに気づき、彼女は初めて本来の剣筋を取り戻していく。さらに旅の中で、火の精霊に愛されながら自らの力を恐れる精霊使い、森で育ち軍師としての資質を秘めた斥候士など、「弱い」と決めつけられていた仲間たちと出会い、それぞれが自分自身の本当の才能を開花させていく。
しかし、その力は単なる育成能力ではなかった。ミハルの言葉は、人の魂の奥に眠る可能性へ触れ、その人自身の認識を変える不思議な力を持っていたのである。彼はまだ知らない。自分が世界で唯一、人の魂そのものを見抜く「魂律師」であることを。そして、才能を決めつける世界の常識の裏には、千年を超えて隠され続けた真実と、人類の未来を左右する大きな運命が眠っていることを──。
これは、「弱い」と決めつけられた者たちが、本当の自分を取り戻していく物語。そして、読者自身もまた、人を見る物差しを少しずつ変えていく物語である。