あらすじ
無旗将から届いた十二通目の停戦書には、四万八千二百四人の名が記されていた。
王国軍の誓印師リゼット・エイルは、七日間だけ開かれる《白い停戦回廊》の監督を命じられる。
本来その停戦は、負傷兵と捕虜を交換するためのものだった。
だが、敵国の名もなき将《無旗将》が求めたのは、国境都市カレルに取り残された住民全員の退避。
王国にも帝国にも疑われ、どちらからも守られない人々。
歩けない者、戸籍のない子ども、故郷の鍵を捨てられない老人、まだ名もない赤子。
その数、四万八千二百四人。
七日目の最後の鐘が止めば、回廊は戦場に戻る。
その時、二つの軍が都市も人々も飲み込むだろう。
リゼットに下された命令は二つ。
「危険な者は切り捨てろ」
「無旗将が脅威となれば殺せ」
けれどその敵将は、過去三年間、十一度の停戦で一度も約束を破らなかった男だった。
国の命令か。
目の前の命か。
信じてはいけない敵か。
それでも信じたい、たった一つの約束か。
これは、誰かを救うために誰かを数から外す世界で、最後の一人まで置いていかないと決めた七日間の物語。
最後の鐘が止む前に、彼らは白い回廊を渡り切れるのか。
【更新について】
*本作は全6話完結の短期連載です。
*7/15(水)〜7/17(金)にかけて、各日19時・21時の1日2話更新で投稿予定です。