あらすじ
「――聖女様の力では、天界の門は開けられません」
千年に一度の『開門の儀』。その門前で、わたくし聖女ミリアは王太子レオンハルトに「役立たずの偽聖女」と断罪された。本物の聖女は公爵令嬢マリベルだと言う。
けれど、わたくしの前世は日本のブラック企業で過労死した危機管理コンサルタント。この手の理不尽な追い込みミーティングには、慣れている。
「――承知いたしました。では、聖女位を返上いたしますわ。ついでに――わたくしが結んでいた『契約』も、すべて」
ユニークスキル【契約記述】が起動する。その瞬間、王国全土の結界も、魔物封印も、治水術式も――たった一人が無給同然で十年支えてきたすべてが、音を立てて崩れ去った。
この十年、地道に綴じてきた帳簿には、一度も支払われなかった報酬の未収額が記されている。
未払い報酬十年分。そして王国予算の三年分。きっちりご請求させていただきますわ。
聖女契約を全解除し、天界へと転職した元社畜聖女。崩壊した王国から届く『どうかお戻りを』の悲鳴の書状に、彼女が掲げた札は――『受付時間外です』。
「わたくし、今日は――有給ですもの」
正当に報われる日々を求めた、痛快・お仕事転生ファンタジー、開幕。