あらすじ
時は星暦一二八五年。とある水の星。
この世界は、全ての命を喰らい呑み込まんとする存在〈深淵〉によって蝕まれ、崩壊の足音が着実に迫りつつあった。
闇の侵攻から逃れた人類は、魔導機巧〈|封炉《ファイアキーパー》〉を生み出し、その灯光が照らす場所に生活圏を築くことで難を逃れた。
だがそれは、光の及ばない場所──すなわち、滅びゆく世界から目を背け、ただ生き永らえるだけの選択でもあった。
そして、とある土地。
万人が恐れる深淵から、一人の少女が産み落とされる。
それは歴史上ただ一度だけ、深淵が完全にその姿を失った瞬間でもあった。
かの者が持つ名は、アンジェリア。
記憶を喪った彼女は、自らの正体を知るために、そして深淵の秘密に迫るために、危険な旅路の一歩を踏み出す……
──はずだった!
少女が選んだのは、風の向くままに足を運び、美味しいものを求めて寄り道し、大好きな仲間たちと今を楽しむ……そんな、自由気ままな旅路。
世の命運よりも、目の前の幸せのほうがずっと大事。
ささやかな願いを抱き、時に笑い、時に迷いながらも、アンジェリアは過酷な世界を渡り歩いていく。
「特別な運命なんて知らない。わたしの〝道〟は、わたしが決めるんだ……!」
少女は滅びゆく世に背を向けて、心の導の赴くままに──……