あらすじ

人は死ねば灰となり、風に乗って世界樹へ還る――それは誰もが疑うことのない、この世界の理だった。 辺境の村で火葬師として暮らす青年アッシュは、死者を灰へ還す役目を担っている。彼には、灰に触れることで、その人が生きた証――喜びや後悔、愛した人の記憶を受け継ぐ不思議な力があった。しかし、それは死者と会話する力ではない。ただ人生の残響を一度だけ継ぎ、世界へ送り返すだけの静かな力だった。 ある日、村の少女リナが事故で命を落とす。いつものように葬送を執り行うアッシュだったが、燃え尽きた炉には、あるはずの灰が残っていなかった。 その代わりに現れたのは、一羽の黒い鳥。 鳥はアッシュだけに聞こえる声で告げる。 ――「最後の灰守り。」 ――「世界樹を、眠らせてくれ。」 村長はその言葉に恐怖し、灰守りという名を決して口にするなと告げる。しかし、還るはずだった少女の魂は行方知れずとなり、村では死者の記憶が奇妙な形で残り始める。 少女を正しく見送るため、そして自らの力と「灰守り」という存在の真実を知るため、アッシュは世界を巡る旅へ出る。 還れない魂を送り、歴史に葬られた真実を継ぎ、やがて世界そのものの輪廻へと向き合う――これは、死者が遺した想いを未来へ繋ぐ、一人の灰守りの物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/07/15
  • 現在の作品灰継ぎの守り人