あらすじ

「君を見込んでの話だよ」——その言葉を、真壁圭吾は信じていた。 四十四歳。新規事業の責任者として送り出された地方都市で、彼は知る。本社に残された稟議には、押した覚えのない自分の印。抗弁の窓口は、気づいたときにはもう閉じていた。 慣れない土地、届かない言葉、現場との軋轢。すり減った夜、駅と反対へ歩き出した足が辿り着いたのは、市立科学館の小さなプラネタリウムだった。 「星座を作る星たちは、実は、お互いに何の関係もないんです」 解説員の声が、闇の中で静かに語る。人が勝手に線を引いただけの、見かけの絵。十万年後にはひとつ残らず崩れてしまう形。 それなら、自分が信じていたものは、何だったのか。 満天の星の下でつかの間の眠りに落ちた男が、明るくなったドームで受け取ったもの。 冤罪は晴れない。明日も同じ売場に立つ。それでも。 崩れると知っている形を、それでも見上げるための短編です。

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カクヨム
カクヨム2026/07/15
  • 現在の作品今夜の星に間違いはない