あらすじ
酒が好きだ。
煙草も好きだ。
仕事は、できればしたくない。
女にも弱い。
そんな神父がいる。
名は、ルシウス・アルハンブラ。
教会では「あまり神父らしくない神父」として有名だが、その裏で彼が何をしているのかを知る者は、ほんの一握りしかいない。
教皇庁最深部――《聖櫃院》。
悪魔、死徒、異端者、そして決して表に出してはならない仕事を、人知れず始末する極秘機関。
ルシウスは、その最高戦力の一人だった。
辺境の村で起きる不可解な事件。
夜ごと響く教会の鐘。
暗躍する異端結社。
人々が平穏な日々を送るため、誰にも知られない場所で戦う者たちがいる。
その中でも、煙草の煙をまとい、悪魔を狩り続ける神父は、いつしか《灰煙の処刑人》と呼ばれるようになった。
本人はそんな異名より、暖かい酒と一本の煙草、それから静かな休日のほうがよほど大切らしい。
もっとも――。
悪魔は、そんな都合よく休んではくれない。
これは、世界の裏側で戦い続ける、一人の怠惰な神父の物語である。