あらすじ
関東北部の山深くに、地図から忘れられたような集落があった。
名は、二欠け村。
そこでは古くから、双子は忌むべきものとされていた。特に女の双子は、十四を越えられない。村に災いを呼ぶ存在として、ある“役目”を背負わされるからだ。
山越結と山越弦は、同じ日に生まれた双子の姉弟だった。
控えめで我慢ばかり覚えた姉・結。
そんな姉を誰よりも大切に思い、守ろうとする弟・弦。
二人は貧しい山越家で、互いだけを支えに生きていた。だが、十四になる年の朝、食卓に並んだ二つの椀が、二人の置かれた運命を静かに告げる。
村の決まり。
二欠け神社。
女の双子。
人柱。
誰も本当のことを語らない村で、結と弦は少しずつ、自分たちに迫る因習の正体を知っていく。
そして百年後。
廃村となった二欠け村を訪れた現代の双子、環と天音は、一冊の古い手記を見つける。
そこに記されていたのは、歴史から消された姉弟の名。
そして、村が隠し続けた人柱の真実だった。
人柱にされたのは、姉ではなかった。
これは、記録から消された弟と、生き残ってしまった姉の物語。
百年越しに届いた手記が、閉ざされた村の罪を暴いていく。