あらすじ

泣くことが、仕事だった。 リーシェの涙は薬になる。 祝福の涙と呼ばれる、希少な体質。 婚約者はそれを知った日から、彼女を泣かせることをやめなかった。 精神的に追い詰め、涙を搾り取り、薬に変える。 愛人は目の前で笑う。 「泣けば役に立つのだから、便利ね」と。 婚約者はその言葉を咎めない。 薬学の腕も、調合の知識も、誰にも見えない。 この屋敷で求められるのは、涙だけだった。 母の形見を壊された日、返ってきたのは一言。 「大袈裟だな」。 その日、リーシェは涙を止めた。 屋敷を出た先で出会ったのは、涙ではなく知識を見る人。 けれど、祝福の涙には誰も知らない条件がある。 強いられた涙は、祝福のままではいられない。 あの棚に残した美しい小瓶の中で、何かが静かに変わり始めている。

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小説を読もう2026/06/19
  • 現在の作品「泣けば役に立つ」と笑った婚約者へ――その薬、もう祝福ではありません