あらすじ
大阪・関西万博が開催される二〇二五年。
鶴亀建設会長・海原修一は、新聞記事を目にした瞬間、強い違和感を覚える。
記事に書かれていたのは、一九七〇年の大阪万博建設現場で起きた死亡事故。当時の同僚の名前だった。
しかし、海原の記憶では事故で死んだのは別の人物だったはず――。
過去を調べ始めた海原は、古い写真や証言、当時の記録に触れるたび、自身の記憶との食い違いに直面する。
なぜ自分だけが違う記憶を持っているのか。
そして、五十五年前の事故の日に本当は何が起きたのか。
記憶と真実が交錯する中、一人の老人が封印してきた過去が静かに浮かび上がっていく。
人は過去を思い出しているのではない。
生きるために過去を書き換えている。
大阪万博を舞台に描く、記憶と罪をめぐる心理サスペンス。