あらすじ
兵十のうなぎを逃がしてしまったごんは、その罪を償うため、夜中にこっそり栗を置きに行く。
しかし、兵十の家には防犯カメラがあった。
翌朝、映像を確認した兵十は、初日であの名台詞を口にする。
「ごん、お前だったのか」
「初日で言う台詞じゃないな」
こうして、原作なら最後に明かされるはずの真実は、物語の冒頭であっさり判明した。
けれど、事件は終わらなかった。
ごんは、兵十だけでなく、過去にいたずらをした村中の家へ栗、松茸、魚、山菜、米を置き続ける。村はこれを「連続善意置き配事件」として扱い、兵十はベテラン刑事のような低い声でごんを追う。
逃げるごんは言う。
「まだ捕まるわけにはいかねえんでさあ」
「最後の栗を置くまでは」
一方、兵十は言う。
「罪悪感を玄関先に置いて回るな」
「栗を置いたからって、罪が消えるわけじゃない」
代理配送、交換置き配、密室栗事件、消えた松茸。ごんの償いはどんどん刑事事件のようになっていく。
最後の夜、兵十は鉄砲を持ってごんを待つ。響く銃声。転がる栗。そして、再びあの言葉。
「ごん、お前だったのか」
これは、防犯カメラによって悲劇になり損ねたごんぎつねの、削られた真実の物語。